受け身を取る暇もないまま、地面に倒れこむ。

「痛っ」

起き上がろうとして足に痛みが走る。
今の攻撃で足を捻ったかもしれない。

「む?」

僕が動かない事が不思議なのだろう。
首を傾げながら青鬼が手に持っている刀を振り上げていた。
あれは止まらない。
振り下ろされる一撃によって僕の体は真っ二つにされてしまう。
迫る死。
あの時と同じだ。
刃でなく拳だったけれど、命を刈り取る一撃が迫る。
死、
死ぬかもしれない?
いや、死ぬ。
この一撃で僕は命を奪われる。
死ぬわけにいかない。
僕は生きると誓った。
死ねない!!

「くぅう!」

気付けば、僕は前に踏み出していた。

「お?」

驚いた顔をしている青鬼の顔に向かって拳を振り上げていた。
青鬼の顔を殴った途端、手の皮膚が裂ける。
刀を構えなおそうとする青鬼の腕を掴み、捻りあげようと試みた。

「無駄だ」

しかし、鬼の筋力故にびくともしない。

「嬉しいぞ、お前様」

顔が近づいてくる。
相手は笑っていた。

「お前様は今までに出会ったどんな猛者よりも素敵だ!あぁ、何故、今までにお前様と知り合えなかったのか、本当に残念で仕方ない!お前様ならば、満たしてくれる。さぁ、もっとヤりあおう!お前様はただの人間じゃない。もっと、その力を」

舌なめずりしながら刀を構える青鬼の首、青く細長い部分へ手を伸ばそうとした時。

「そこまで」

新城の声が響く。