「こいつらは妖界の番人だ」

忍装束姿の人達に連行されている中、新城が説明してくれる。

「妖界って、前に僕達が行ったあの世界?」
「そうだ」
「でも、僕達があの世界へ行った時はこの人達は」
「こいつらの目的は妖界へ入った者達の監視じゃない。出て行った連中の監視だよ」
「出て行った?まさか、ミズチ様の?」
「あー、二人とも冷静に話をしているけれど、この状況でおかしいとかそういう感情を抱いているのって私だけなのかな?」

僕と新城が話をしていると瀬戸さんが尋ねてくる。

「俺は何度も来ている」
「僕は二度目だし」

妖界へ新城と一緒に来た事がある。
新城は怪異関係で何度か来た事があると言っていたし、

「平然としているアンタ達に聞いたのが間違いだった。公園からいつの間にか薄暗い通路を通っているし」

僕達は今、自然公園から妖界へ繋がる道を歩いている。
この道は特殊な方法でないと通れないもので、ミズチ様が誘拐された件について妖界にいる偉い人へ説明しないといけない。

「そもそも、どうして、瀬戸さんが」
「あの場にいた奴全員連行されているぞ、ほら」

指さす方をみるとスケッチブックを両手で握りしめてぶるぶる震えている彼方君がいる。

「あ、貴方達は何なんですか、それに、ここは一体」
「さっきも説明したが右から左へ聞き流しているらしい。俺は説明を放棄する」
「えっと、瀬戸さんよろしく」
「アタシに丸投げ!?」

そんな他愛のないことを話していると通路を抜けて妖界の入口にたどり着いた。

「え、関所?」

時代劇でみたような門が僕達の前に現れる。

「入れ」

忍装束の人?に急かされて門を潜り抜けた。

「うわぁ」

門を抜けた先に広がる建築物。
江戸時代を想像させるような造、空に太陽はなく月が一つ浮いている。

「映〇村みたい」

僕もそんな印象を抱いたと思う。