「ったく、マジでどうなっているんだ?」

夜、僕と新城は街中を歩いていた。
学生が街中に歩いていると警察に補導される危険もある。
でも、二人は祓い屋としての仕事で夜の世界を歩いており、警察の怪異を専門とする部署の根回しのお陰で補導される心配もない。
夜、加えて雨が降る道の中、雨具を着て僕達は歩き回っている。

「どこのどいつだ。こんなものをまき散らしやがって」

ぶつぶつと言いながら新城は目の前の石へ札を貼り付ける。
札を貼り付けた途端、ボウ!と黒い何かが噴き出して消えていく。
それと同時に貼り付けた札も破けて四散する。

「チッ、面倒だ」
「今の……祓えたの?」

舌打ちして石に触れている新城へ僕は尋ねる。
明らかに新城は機嫌が悪い。
だからといって何も知らないまま行動していれば、命の危険に繋がることがある。
怪異の前で無知は危険に繋がる。

「わからん」
「え!?」

眉間に皺を寄せながら告げられた返事に僕は困惑する。

「わからないって、どいうこと?」
「わからないはわからないだ。この石に仕込まれている呪いは解呪した、だが、解呪はしたが完全にできたのかがわからない。いつもの手応えがない」

そもそも、と新城は石に触れる。

「霊脈に直接、術を撃ち込む……こんな恐ろしいことを仕出かす奴の正気を疑うね」
「霊脈?」
「この地……いや、大地には特殊な脈がある。それは俺達祓い屋や陰陽師と呼ばれた連中が術を操る際に使用する手段の一つであり、神々が降臨する際に使われる道の役割を持つ、それから」
「とても重要な事だというのはわかったよ。うん」

その後、専門的な用語が次々と飛び出してきたので会話を無理やり打ち切る。

「問題は、そんな重要な場所へどこの誰が、何の目的で呪詛なんてものを打ち込んだのか、こんなの一歩間違えたら神が怒り狂ってこの国が地図から消えるぞ」

ジュウヨウどころか、とってもヤバイってことがわかった。

「しかも、こんなものを何カ所に打ち込んで、好戦的な奴が気付いたら真面目にこの国は消滅するだろうな」