そうだ、ついでにいうと今は護衛の仕事を請け負っているから妨害するならアンタを敵とみなす」

「笑止、消滅させる力をもたないお前達にできることなどない」
「新城、一応、相手の理由を聞いた方がいいんじゃ?」
「こんなところにいやってきている時点で理由はわかりきっている。狙いはミズチの討伐ってところか?」
「その通り、人の世界を脅かす怪異はすべて消滅させる」

口の端を笑みで歪めながら目の前の退魔師は両手を広げる。
袖口から黒いモヤが噴き出し、僕達に迫る。

「動くな」

十手を構える僕に新城が短く告げながら札を数枚、ばらまく。
札がモヤに当たり一時的に動きを止める。
しかし、ジュッという音と共に札が燃えて消え去った。

「てめぇだな?この町の霊脈に呪詛なんて仕込んだ大馬鹿野郎は」
「呪詛?違う、あれは我が家が退魔師としての本懐を遂げる為に必要な力。理解できないというのか?これだから祓い屋は」
「呪詛がどれだけ危険なものなのか理解していないのか?しかも、神クラスの妖怪相手に喧嘩を吹っ掛けるなんて、?これだから退魔師は」

舌戦がはじまるも相手の目がぎょろぎょろと動いている。
あ、相手の沸点低いかも。

「殺す!」
「やってみろよ!」

再び黒いモヤを操って攻めてくる退魔師。

「コイツに触れるな。俺が合図したら攻め込め」

身構えようとした僕の耳元で新城が告げると前に出る。
制服のボタンを外して、数枚の札を取り出す。
札が輝くと僅かばかりモヤの進行が遅れる。
止め切れていない。

「所詮、陰陽師崩れ!お前らみたいなものに我らの本懐を止められるわけがない!」

袖から飛び出しているモヤがさらに増える。
札をさらに追加して目の前のモヤの進行を新城が抑える。

「あぁ、まったくなんて面倒は呪詛を使っているんだ。お前、自分の体がどうなっているかわかっているのか?」
「時間稼ぎか?まぁいい、我の体?そんなものはどうでもいい……我らの悲願を達成させられるならこの命などどうとでもなる!」
「くっだらない」