「行ったね」

一条彼方と会話をはじめた。
互いにぎこちない様子であるも、順調に会話が進んでいる。

「このままいけば、うまくいくんじゃない?」
「どうだろうな」

順調だというのに新城だけがどこか否定的というか、あまり好印象を抱いていないようにみえる。

「アンタ、なんでそんな否定的なの?」
「人と怪異はそもそも関わらない方がいいというのが俺の持論だ。それは妖怪と人間も同じだ」
「どういうこと?」
「人間と妖怪の寿命は異なる……それに」
「それに?」
「何でもない」

僕は新城の態度が少し気になって、声をかけようとした。
瞬間、ゾクリと寒気が走る。
これは殺意だ。

「新城!」
「チッ」

懐から札を取り出した新城はそのまま投擲する。
投擲された札が空中で燃えた。

「無礼な、戦いの礼儀を知らぬ愚か者」

札が燃えた場所に一人の男が立っていた。
着物の上から鎧のようなものを纏い、目の周りは隈で覆われ、血走った瞳がこちらへ向けられている。

「新城……」
「退魔師だ。嗅ぎつけられるかもしれないと思ったが本当に来るか」

ため息を零す新城、僕は制服に隠している十手を取り出す。

「今の術に、その十手、貴様、祓い屋と守りてだな?」