「新城!」
「俺はツテを使って、カナタとかいう奴を探す。あまり期待はできないが」

廊下を出た所で新城が振り返る。

「その間、お前はミズチ達を守れ」
「守れ?って、何から?」

新城はちらりとミズチ様がいる特別教室をみながら警戒を促してくる。

「この場に妖怪、しかも神がいるとしれば、退魔師の連中がやってくるかもしれない」
「退魔師って、ミズチ様を攻撃したって?祓い屋と違うの?」
「祓い屋と思考、根本が何もかも違う」

祓い屋は怪異を追い払う事を目的で退魔師は怪異を消滅させることを目的としている。

「怪異を消滅!?そんなことできるの?」
「かつては出来た。だが、今は失われた技術……退魔師はその技術を復活させようと躍起になっている連中だ。おそらく術を試す為にミズチを狙ったんだろう」
「もしかして、ミズチ様を退魔師が狙ってくる可能性がある?」
「そうだ、ここ最近の怪しい呪詛もミズチ降臨の可能性を予期していたのであれば……まぁ、俺が考えすぎの可能性もあり得る。あり得るが、何もしないというわけにもいかない……念のため、結界を貼っておくが、最悪の場合、お前ひとりでアイツらを守るんだ。できるな?」

確認するようにみてくる新城に僕は迷わずに頷く。

「それが僕の仕事だから」

助けてくれた新城に恩返しというわけじゃない。
僕を必要と言ってくれた彼の為にやれることをやる。
制服の中に隠してある十手に触れた。

「任せて、やり遂げて見せるから」
「……すぐに戻る。頼んだぞ」


















「何やっているの?」

特別教室へ戻るとミズチ様が十二単から制服を着ていた。

「その制服、どうしたの?」
「アタシの制服を貸したの!」

ミズチ様の隣にやってきた瀬戸さん。
体操着姿だった。

「現代の人が纏う服というのはあっさりしているものなのですね」