── 卒業式の朝、 けいちゃんと精一杯ハグをして別れを惜しんだ。 漆原くんは東京の大学にきちんと合格したようだった。 そして私は、だいぶ偏差値を下げた、よく知らない大学になんとか合格した。 トイレで口紅をしゃんと引いた。「集合写真撮るよー」という声が外からしてので、慌てて直そうとすると、底を回転させ忘れて蓋をしてしまった。その感触に気付いたときには遅く、口紅がぐしゃ、と潰れてしまっていた。 でもそれでいいと思った。