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「ごめんな、柊木、推薦ダメになった」
高校三年生十二月。
職員室に呼び出された私は、いきなり担任にそんなことを告げられた。

「えっ、どういうことですか?」
「学校推薦選抜ってのはな、高校ごとに推薦できる定員人数があるんだよ。柊木も知ってると思うけど」

頭が真っ白になった。
それは、高校入学時よりずっと賭けていたものだった。

「もしかして……私、漏れたってことですか?」
「そのまさかだ。思ったより希望人数がいてな」

学内での成績、生活態度、その他諸々をまとめた調査書を高校が大学に提出してくれるのだ。それは学力試験を受けなくても年内に受験を終わらせることができるという受験方式だ。

両親の命令だった。
コツコツ真面目にさえしていれば、その権利を得ることができるのならば、狙うよりないでしょう、と耳にタコが出来るほど聞かされつつ高校生活を送ってきた。しぶしぶここまでなんとかやってきたのだ。
学級委員や、やりたくなかった行事の実行委員だって、不釣り合いって分かっていてもこなしてきた。

「……まぁ、柊木なら、実力で一般入試パスできるだろう。そう悲観的になるな。ちょっとな、何かが足りなかったんだ」

あっさりした言い分だった。絶望した。

私の代わりに推薦に選ばれた子は、成績は私より下だったけど、
ただ一つ。皆勤だったらしい。
とはいえ私だって、二、三日程度しか休んだことはなかった。
一般入試まで、もう一か月と少ししかなかった。