かつて、音楽の趣味が同じで付き合うことになった人に「なんでお前っていつもひとりで喋ってんの?」と問われたことがある。

彼は私を「怖い」と言った。異常などのひとりごとをこぼして生活する私を「おかしい」と言った。

説明できるほどの語彙をもっていなかった私は「ごめん癖なんだよねえ」と笑うことしかできず、それから数か月後、私たちは別れた。

同じ音楽を好きだからと言って、同じ価値観を持っているとは限らない。



ひとりでいる時、奇声をあげる癖がある。癖、というか、独り言でもなく、感情が溢れてそれがたまたま音になってしまったみたいな状態に近い。恋人にさらすつもりはなかったが、無意識で出てしまっていたようだ。


フツウに、フラットに生きていたらそんなことはしないんだろうか?

他人に疑問を持たれるたびに、私は人間のという仕組みに適していないことを自覚する。


過去のどうにもならないことをふと思い出してしまって、当時の感情を壊すように自分の身体の一部を強く叩いたり、周りの音がどうしてか耳障りで、潰れるくらい強く両手で耳を塞ぐこともある。


そういう時に、偶然、たまたま、奇声みたいなものが出てしまうんだと思う。涙も一緒に出てくることもしばしばあって、私の後悔や恐怖はこんな方法でしか表現できないんだ、と虚しくなるのだ。