この〝教室〟という空間が私たちの〝世界〟だった。
それは比喩ではなく、この狭苦しい、息苦しい箱の中が私たちの世界に違いない。
ここは〝スクールカースト〟という絶対的な上下関係で形成されている。
そして私たち八人のグループが〝カースト上位〟に位置していた。
その中でさらに細かく分類すると、蘭音と咲葵が同率トップ、次いで茜と取り巻きトリオ、その下に私がいる。
永倉くんも間違いなくトップクラスだけれど、あまり群れないしわりと一匹狼タイプだ。いつも一緒にいるわけではなく、気が向いたときにふらっと現れる。
ここは一学年たったの五クラスで全校生徒が五百人にも満たない、田舎の小さな学校。それがさらに閉塞感を強めているのかもしれなかった。
私はこの世界での生き方が下手だった。あるいは閉じ込められてなるものかとさえ思っていたのかもしれない。この世界の理不尽さも不平等さもなにも知らなかった、自分の正義や価値観を信じていた、数年前の愚鈍な私。
今の私は違う。うまく生きている。きっと、うまく生きられている。
卒業までの残り二年間、もう二度とミスは赦されない。