教室の隅にいる子を〝カースト下位〟と位置づけて敬遠していた。

 上位のグループから抜けたというだけで、本当に大切な人を裏切った。

 一番くだらないのは私だったんだ。

「だけど私は、……私、は」

 ずっとずっと、蘭音や茜が怖かった。絶対に越えられない巨大な壁に見えていた。この先もずっと、ふたりに怯えて生きていくのだと思っていた。

 だけどそうじゃない。

 いくつかの偶然が重なって、たまたま〝今〟目の前にいるだけ。

 ──切り捨てることに怯えなくていいんだよ。こっちにだって切り捨てる権利はある。

 蓮の言葉が、頭の中でこだまする。

 蓮がなにを伝えたくてそれを言ったのか、今になってわかった気がした。

 私の人生は〝今〟だけじゃない。私の世界は〝教室(ここ)〟だけじゃない。

 この先も続いていく未来に、きっと彼女たちはいない。

「誰かを陥れなきゃ成立しない友情なんて、もういらない」