〈五月三日(火)日直 なし/欠席 ?〉

 みんな意外にもちゃんと登校していた。来る時間はばらばらだけれど、遅くても昼過ぎにはクラスのほとんどが集まっていた。

 それぞれ作業を進めていく。ほとんどゼロの状態から始まったわりに、いくつかの小道具や大道具が完成に近づいていた。

 接着剤やペンキを乾かすため、小道具は床に並べられ、大道具は壁に立てかけられていく。教室が狭くなってきたから、教室と廊下で半分ずつくらいに別れようと永倉くんが提案し、小道具班は廊下で作業をすることになった。

 私は教室の隅っこでひとり黙々と大道具にペンキを塗っていた。

 蘭音や茜とは、そして咲葵とは、連休前日のあの日以来ひと言も喋っていない。

 私はあれだけ恐れていた〝ひとり〟になっていた。

 不思議なのは、蘭音たちが私じゃなく今でも咲葵を標的にしていること。もはや意地になっているのか、仲間が増えて強気になっているのか、私相手じゃ張り合いがないと思っているのか、一気に存在を消される段階まで飛んだのかはわからない。

 なにはともあれ、怖いものは怖い。実際にこうして教室の隅でサナギみたいに大道具と一体化しているのだから。ちなみに心臓はずっとざわざわしているし、暑くもないのに全身汗だくだ。

 だけど、それでも。

 逃げたくなかった。

 蓮は私のことを弱くなんかないと言ってくれた。ひとりじゃないと、絶対に味方だと何度も言ってくれた。

 たったそれだけのことが、私にほんの小さな小さな勇気をくれた。