自分でもいい加減しつこいとは思うのだけど、私は今日も今日とて日直だった。

 今日ばかりは黒板に思いっきり『日直 逢坂』と書かれているわけだから逃れようもない。一クラス三十人で日直は日にふたりずつだから、月に二度回ってくるときはある。

 とはいえ月に四回も日直をするなんて、もはや日直のプロだ。我ながら滑稽すぎる。

 早々に日誌を書き終えて職員室へ向かった。

 日誌を受け取った担任はなぜか驚いていた。

「あれ? 逢坂、また日直か?」

 朝からずっとやってましたけど気づくの遅くないですか。

「今月何回目だ」

「……四回、です。塚崎(つかさき)さんと森杉(もりすぎ)さんと代わったんです。日直の日に体調が悪かったらしいので。あ、でも、今日はもともと私ですけど……」

「そうか。まあ体調が悪いならしょうがないけどな」

 毎日あれだけ教室でバカ笑いしてた姿が見えてなかったんですか。

「だけどまあ、さすがに四回はやりすぎだ。友達だから代わってあげたい気持ちもわかるけどな、断る勇気も必要だぞ。それか他の生徒に頼るなりしないと」

 なんで私が怒られてんの? 押し付けた方に注意してよ。

 勇気。勇気。勇気。

 教師はそれしか言えないのか。

「はい。すみません」

「あーそれと、ちょっとスカート短いぞ。市販のリボンじゃなくちゃんと指定のリボンをつける。あと化粧も禁止、肩より長い髪はひとつにまとめる」

 私以上に注意すべき違反者が腐るほどいると思いますけど。

 なんだろう。なんなんだろう。

 大人は都合の悪いことや面倒事は見えない生き物なのだろうか。

「はい。すみません」

 まあ、いいや。

 なんか、もう、どうでもいいや。