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〈004:ノウゼンカズラ@HOME 20XX/08/31(X) 18:47

一夏の間に知れたことは、学校に大親友がいるけど学校自体は好きじゃないこと、雨はもっと嫌いなこと、妹が絶賛反抗期中で困ってること、通ってる中学。それくらいだった。

彼女が通ってるのは二駅分離れてる地域の中学だった。なんでわざわざ遠くの塾に通ってるのか不思議だった。でも結局それを訊くことも連絡先することも交換できなかった。態度はフレンドリーなんだけど、なんとなく壁を感じてたっていうか、深入りしちゃいけないような雰囲気があったんだ。

でも俺は、訊きたいことはいくらでも出てきた。

好きな奴いるの、とか、彼氏いるの、とか。

彼女は夏期講習だけだったらしく、夏休みが終わると同時にいなくなってしまった。ちなみに俺は小学生の頃から通ってたからそのまま滞在。

残念だけどしょうがないことだし、彼女のことを考えるのはやめた。

いや、やめようとした。けど全然無理だった。

もうこの塾にはいないってわかってんのに、彼女の姿ばっかり探してた。

冬期講習が始まれば、春期講習が始まれば、また会えるかもしれない。

そんな期待をしつつずっと彼女を待ってた。

そして一年後、夏期講習で彼女の姿を見かけた。

幻影なんかじゃなかった。本物の彼女だった。〉

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