「ごめん。……なさい」
ずっと喉につかえていたそれを言葉にできたのは、神社に着いてゆうに一時間が過ぎた頃だった。
さすがにもう太陽は隠れて、丸く切り取られた空には星が浮かんでいる。
「なにが?」
「さっきの。教室のやつ。その、八つ当たりして、ごめん。……なさい」
「いいよ別に。そんなことどうでもいい。けどひとつだけ訂正しとく。友達いなくても平気って言っただけで、ひとりで平気なわけじゃないし強くなんかない。だから今こうして一緒にいるんだよ」
「そんなことない。時生は強いよ。正直、ものすごく羨ましい。……私は、嫌になるくらい、弱いから」
この世界で──弱肉強食の世界で生きていくには、私は弱すぎる。
自分は強い人間だと思っていた。弱いなんて思わなかった。思いたくなかった。
だけど、そう気づかざるを得なかった。
「この間の話ね、続きがあるの」
「リサ」
「そう、リサ」