〈001:ノウゼンカズラ@HOME 20XX/08/31(X) 16:52

こんな怪しいってかどう考えても釣りっぽいタイトル、誰か見てんのかな。まあいいや。こういうのあんま読んだことないから何書けばいいのか全然わからんけど、とりあえず自己紹介も兼ねてちょっとした身の上話から。

このサイト文字数制限あるみたいだから小分けに投稿してく。

俺は現二十五歳、もうすぐ二十六になる。〉

 そんな始まりだった。よくある出だしだ。

 またか、と思いながらも、流れ作業のようにスクロールしていく。

 内容はざっくりこんな感じだった。

 誰にも興味を持てなかったのに、中一の夏、通っていた塾である女の子にひと目惚れしたこと。思わず話しかけて、少しずつ話をするようになったこと。一緒に過ごす時間が増えるにつれて、どんどん好きになっていったこと。

 両想いだと確信していたのに、告白したら振られたこと。それから彼女を避けるようになったこと。彼女が抱えていた闇に、ずっと気づけなかったこと。

〈010:ノウゼンカズラ@HOME 20XX/08/31(X) 22:31

そもそもなんで彼女のノートが白日の下に晒されたかって、俺が机に置いたノートを見つけた誰かが勝手に見て内容を言いふらしたんだ。

まさかそんなことになるなんて夢にも思ってなかったけど、彼女が一人になった原因の一端は間違いなく俺にもある。机に放置したりせずに、次の日にでも直接渡せばよかったんだ。彼女に話しかける度胸がほんの少しでもあれば、彼女が笑顔を失うことはたぶんなかった。

ノートを置いたのは俺だって、どうしても言えなかった。嫌われるんじゃないかって、軽蔑されるんじゃないかって怖かった。
何もできないままいたある日、彼女の身に嘘だろってくらいの不幸が重なった。体にも、たぶん心にも、一生消えないだろう傷を負ったんだ。

限界だったんだろうな。その後すぐに彼女は転校していったよ。

俺が大変だったのはそこからだ。彼女がいなくなったことで、自分がどれだけ彼女のことが好きだったのか思い知らされたんだから。

彼女は転校と同時にLINEのアカウントも消したっぽかったし、それから一度も会えないまま今に至るって感じ。んで最近、ある噂が耳に入ってきた。完全に塞ぎ込んでしまった彼女は心を病んで、今でも闘病生活を送ってるって。〉