血まみれのままふらふら歩いていると、家に着く前にお巡りさんに呼び止められ、すぐさま病院へ搬送された。

 出血量のわりにそこまで傷は深くなかったが数針縫われた。消毒は気絶しそうなほど痛かった。

 連絡を受けて駆け付けた母さんに、なぜすぐに病院へ行かなかったのかとこっぴどく怒られた。

 不思議と涙が出なかった。腕の痛みも母さんの説教も、現実感がなくやけに遠く感じた。

 ──明日だけ…………で眠ってる逢坂に会わせてもらえるそうだ。

 自室のベッドの上でただぼうっと天井を見ていたとき、担任の話を思い出した。

 そうだ。明日、美桜に会えるんだ。

 場所を訊ねるまでもない。検索するまでもない。この街にその建物は一箇所しかない。