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〈009:ノウゼンカズラ@HOME 20XX/08/31(X) 21:58
二年になると、彼女と同じクラスになった。
とはいえ尋常じゃないくらい気まずかった。
当たり前だ。あれから一言も喋ってなかったんだから。
話したかった。謝りたかった。名前を呼びたかった。
たくさん話をしたあの場所で、もう一度笑い合いたかった。
まだ好きだって、大好きだって、言いたかった。
意地という皮が剥がれて隠しきれなくなった本心を一つも伝えられないまま、時間だけが過ぎていった。
何も言えなかったのは、彼女は何も変わっていなかったから。
こっちは毎日吐きそうになるくらい気まずいのに、彼女は至って普通だった。
用事があれば話しかけられたし、話が終わればすぐに去ってしまう。
ちょっとくらい気まずそうにしてほしかった。なんならちょっとくらい冷たくされてもよかった。
よくも悪くも、彼女も俺のことを意識している。
そう思えるような素振りを、少しでもいいから見せてほしかった。
なのに彼女は、まるで何事もなかったみたいに淡く微笑んでいた。
思い知らされた。
俺がいなくたって、彼女にはなんの支障もない。もうなんとも思われてない。
彼女の世界には俺なんて必要ない。
それを痛感する度に、悔しくて、寂しくて、苦しくて、身動きがとれなかった。〉
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