君を救える言葉など、どこを探せば見つかったのだろう。

 わからなかった。見つけられるはずなかった。

 君がなにに悩み、なにに迷い、なにに苦しんでいたのか、なにも知らなかったのだから。

 なぜなのだろう。

 なぜ近くにいればいるほど見えなくなってしまうのだろう。

 なぜ人は大切なことばかり忘れてしまうのだろう。

 なぜ後悔したくないと願いながら、自ら後悔の種を増やしてしまうのだろう。

 なぜ傷つける言葉は容易く口にできるのに、「愛してる」のひと言が言えないのだろう。

 意地や照れなんてクソ喰らえだ。

 たったひと言で、目に見える景色は、この先に広がっていく未来は、変わってくるはずなのに。

 この世界に君がいる。

 ただそれだけでよかったのに。