だから当然だった。一年の修了式を目前に、俺は美桜に振られた。
美桜は理由も語らずに、ただ「別れよう」と言った。
別れたくなかった。絶対に嫌だった。
だけど俺は、ちゃんと理由を訊くこともせずに「わかった」と言った。
意地だった。三年もの間、俺ばかり追いかけている気がして悔しかった。
どうせ俺が引き留めると思ってるんだ。どうせ俺がまた泣くと思ってるんだ。
なんでだよ。なんでお前の方が辛そうな顔してるんだよ。被害者ぶるなよ。
もういいや。めんどくせえ。勝手にしろよ。
意地や悔しさから湧き出てくる感情で本心を隠し、美桜から離れた。
あのとき、ちゃんと美桜の話を聞いていれば、ちゃんと美桜の顔を見ていれば。
俺の前から去ってしまうことも──忘れられてしまうこともなかったのだろうか。