「や。まだ私がそう考えてるだけです。流夜くんは知りません」
「じゃあ、流夜くんもそれがいいと言うなら、ちゃんと話してまた来なさい。そのとき答えよう」
「……流夜くんもいいって言ったら、認めてくれるんですか?」
「時と場合による」
内容が内容なだけに、厳しめに言って置いた。
まあ、咲桜は今はまだ十五だし、そう判断してしかるべきだろう。
それにうちの娘は母親に似て、『時々暴走癖』があるから注意して見ていないと。
「……驚かせたいです」
「まず私が驚いてるよ」
まだ未練のあるらしい咲桜は、やっと土下座を解いた。
「恋愛興味ナシだった咲桜がねえ、てね」
「れ、恋愛とかそういうんじゃなくて! なんかこう……おめでとうとかありがとうとか! そういう感じ!」
「よくわからないよ」
桃もこういう感覚的な発言が多かったから、こういうとこ遺伝だなあ、と思うけど。
それから咲桜は、なにやら考え込みはじめた。
どうしたら承諾が出るか考えているんだろうけど、流夜くんからも言われればすぐに肯くんだけどなあ。脅してあるし。
――私が流夜くんのところへの泊まりを許したのは、翌日だった。
咲桜は拍子抜けしていたけど、「流夜くんのお誕生日、ちゃんとお祝いしてあげなさい」と言って置いた。
……何があった? と、咲桜は自覚はないだろうが声に出して呟いていた。