沈みそうになった空気を清浄するような声で吹雪さんが言った。

うつむき加減になってしまった私と笑満は顔をあげる。

「あ、はい。やっぱりお誕生日だったら、て」

「いいんじゃない? 八月一日って、夏休みだよね? あ、藤城だと補講とかあるの?」

「……あります。なので、お昼は補講に出て終わり次第仕上げをしていこうかと思ってます」

「ふーん。なかなか大変だね、恋人も。在義さんの許しさえ出れば、一日になった時間でお祝してあげるとかもいいよね。でもあの親バカさんが泊まりを許すわけないかー」

「………」

吹雪の言葉を咀嚼するために瞬間黙った。一日になった瞬間。それは七月三十一日の夜から一緒にいるということ。

「………」

な、なんかとても素敵かもしれない……! 気がしてきた!

「笑満!」

「ん?」

「父さん説得してみる!」

「……へ?」