「レンはああいうの慣れてるからいいけどねー。ゼンがまた騒ぎそー」

「そういう人を、一族の反対押し切って嫁にしたんだろ、天科サンは」

「まあね。ゼン自身が傍系からの養子だから結構大変だったんだよー?」

「……最近どっかで似たような話を聞いた」

あちらは、本家から傍系へ養子に出されたそうだが。

「流夜、学生だよね? あの子」

「……一応」

「『華取』っていう、ネームバリュー負けしたの?」

「まさか。単に咲桜に惚れただけ」

「だろうねえ。名前負けなんかするお前だったら、あの子の方取ってるでしょ」

「あいつにはハナッから相手いましたよ? いなくても、そんな感情いだきませんが」

「まあねえ。怖いもんねえ、相手。今日は完全オフ?」

「そのつもりです。緊急があればあれが対応します」

「そうだろうけど……でもあの子、流夜とは専門違うんでしょ? またゼンに貸しとか作ったらどうするの」

「俺が留守の間でも天科サンに話はいかせません。所長と話詰めてきましたから」

「ああ……お前もそういうとこ強かになってきたんだねえ。成長かなー」

「閃が十五になるくらいですよ。蒼には子供いるし」

「ねー。十三もそんなになるんだねえ。俺的にはそろそろ流(ながれ)と紫の結婚話とか聞きたい頃だけどねー」

「まだなんですか?」

「あの二人が結婚てなったら騒ぎになるでしょ。世界に出たトップモデルコンビなんだから」

「……相変わらず流の一方通行ですか」

「どうなんだろうー。紫もいい加減ブラコン収まっていいのにねー」

「ブラコン加減で言うと翠の方が重症では」

「どっちもどっちでしょ。衛(まもる)や帝(みかど)とは連絡取ってるの?」

「一応。俺は向こうの領分入り込んでますし。土足で荒せば衛に地獄へ落とされます」

「衛もなかなか来ないんだよねー。帝は結構来るんだけど。尊(みこと)も一緒にさー」