「まあ、学生が教育方針で経営側に喧嘩売るなよって話だな」

……教育方針で理事と揉めたって……。

「ど、どういう高校生なんですか……?」

私が驚くと、蒼さんは投げやりに言った。

「まー愉快なガキ共だったんだな」

「お前ら今でも変わんねーだろ」

「しょうがない。そういう奴ら、天科サンは集めたんだから」

はあ、とため息を吐く蒼さん。なんか……初代の十三人――今では桜学の名ももじって『十三桜』って呼ばれているんだけど、十三桜の高校生の頃のお話とか訊いてみたい……。

「あの、皆さんってどんな高校生だったんですか?」

私が訊くと、蒼さんは流夜くんを睨んだ。

「ほら見ろ流夜。興味持たれちまったじゃねえか」

「お前じゃない。十三にだ」

あ、ダメ、だったかな?

「すみません、出過ぎたことを――」

「俺らはなあ、バラバラだった」

「え……ばらばら?」

と言うか、話してくれるんだ? 気分を害してしまったかと思ったんだけど……。

「咲桜、蒼は十三のお守り役が過ぎて、十三の話になるといつもこんな感じなんだ。別に怒ったりしてるわけじゃないから」

「そう、なんですか……」

十三のお守り役? ……それで苦労性ってことかな?

「十三って、十三桜のことですか?」

「そ。関係者の間だと、全部言うのが面倒でそう呼ばれてる」

十三……十三人の、Pクラス。

ふと、蒼さんが視線をあげた。

「流夜。開店時間に合わせるならそろそろ出た方がいいと思うけど?」

あ、時計見ていたんだ。

「そうだな。咲桜、今度、蒼以外にも十三がいるとき連れてくるから、話はまた今度でもいいか?」

そうだった。つい訊いちゃったけど、目的地はここではないらしいんだった。

「うん。あの、またお話、聞きたいです」

「ああ。俺より話上手なの、用意しておくよ」

と、茶化すように蒼さんが答えた。