あれ。知ってるの?
「華取在義さん、だっけ? すまない。知ってはいるけど、あまり関わりなかったから……」
「あ、そうでしたか」
父さんのこと知っていても、こういう反応の人もいるんだ。
……この前の絆さんのインパクトが強すぎて感覚がおかしくなっていたかも。
「では、流夜くんとはどういうお知り合いなんですか……?」
蒼さんが、丁寧に淹れてくれたコーヒーのカップを置いてくれる。
「中学んとき顔見知りになって、流夜たちもPクラスに入れたかったんだ。でもどうにも肯かなくてな」
「お前らの後輩なんかやってられるか。俺は天科サン関連の奴には関わりたくない」
流夜くん、結構バッサリだった。
「残念だな。俺らはお前らを巻き込む気しかない」
……あ、蒼さんはなかなか強気だった。
「天科さんって……天科グループの方ですか?」
「天科グループ現総帥(そうすい)の天科全(ぜん)のことだ。蒼たちが高校生のときは外部理事の一人だったんだけど、天科サンの教育方針に、こいつら初代の十三人が文句つけて喧嘩売って未だに揉めている」
「………はい?」
え、と……? 現総帥、ってつまりは天科グループのトップってことだよね?
私が理解し切れないでいると、蒼さんが説明してくれた。
「俺たちは、天科サン――天科全に意図的に一つのクラスに集められた。その理由にみんな納得がいかなかったから、なら天科サンが決めた道とは別の道で、天科サンが目論んだ結果を出してやる、となった。それが原因で、初代とか言われ始めてしまったんだけどな」
「………」
意図的に集められたクラス――?
「それが……初代って言われる方、のことですか……?」
桜学のPクラス。
進学校の特進科よりもレベルが高いと言われる特別クラス。
勉強が苦手な私でも知っているくらい有名だ。
「――Professional Class、って意味で天科サンはそこに蒼たちを集めたらしい」
プロフェッショナル、クラス……。