「自信?」
「……わからなければ考えろ」
「えー? 流夜くんの自信までは推測も出来ないですが」
「咲桜も持っていい自信だ。いつでも答え合わせしてやるから」
「………」
見当がつかないのか、眉間に皺を寄せて睨みあげてきた。
「考えることを放棄するな」
「……してませんけど」
「じゃ、最初の解答は何ですか? 華取さん」
「………あの、それはどう反応すれば……」
先生としての問いかけですか? と訊いてくる。
「さあ?」
「――絶対面白がってるよね?」
咲桜はいちいち反応が可愛くて面白いから、ついかまいたくなる。それが抑えきれずくすくす笑ってしまうと、咲桜は不機嫌そのものな顔をした。
「今絶対思いっきりからかってますよねえ?」
緩めてあった俺のネクタイを摑んですごんでくる。
「ごめんごめん。反応がいちいち可愛くて」
「……面白くて、の間違いでは」
「可愛くて楽しくて面白くて」
「結局からかってんじゃないですか! 爆発したもん喰わせますよ⁉」
「喰わせる?」
「う……た、食べさせますよ?」
松生発の言葉教育に俺も乗っかった風を装ってみると、案の定咲桜は訂正した。
「喰うと食べるは違う意味だからいんだけどな」
「そうなの?」
「調べなさい」
ぽん。また、頭に手を置いた。
「夕飯。作るか」
「あ、そうだね。変なタイミングで切っちゃってごめん」
まだ途中でしたー、と咲桜が慌ててキッチンに戻る。
「……あのね? 流夜くん」
その手前で、ゆっくり振り返って来た。