「は、遙音くん楽しそうだね」
「そりゃあもう。笑満ちゃんから言質取れたし?」
「彼女に言う言葉じゃないですよ。訂正してください」
「妬いてんのか? 王子サマ」
帰り道が何故か三人だった。笑満と遙音先輩と、分かれ道までの短い時間。
帰りがこのメンバーになったのは初めてだった。
「別に妬きませんけど」
私は憮然と返す。
遙音先輩が笑満に対して俄然余裕綽々なのは、どこか気に喰わない。でも、そう思う理由もわからない。
話題ずらすか。
「先輩って、龍生さんとこにいたんでしたっけ?」
うん、と先輩は肯いた。
「施設出てから、中学出るまでは。匿ってもらったって言った方が正しいかも」
「連れ戻されたりしなかったんですか?」
「施設の人が来たけど、二宮さんや神宮が間に入ってくれた。そんで今でも結構頭あがんないわけ」
「流夜くんの相棒って誰なんですか?」
「それは――……俺が知りたい」
一気に先輩の声が冷えた。
「知らないんですか?」
「知らねー。つーか誰も教えてくんねー。宮寺は知ってる人間自体少ないって言うし」
「宮寺先生は知ってんですね……」
としたら、当然降渡さん吹雪さんは知っているだろう。三人の間に秘密は意味なしと言っていたし。
「それって、降渡さんや吹雪さんじゃないんですか?」
「違うらしい。神宮が留学してっときに向こうで顔見知りになった、てとこまでは知ってるけど」
留学というと、中学のときのやつかな?