「あああの! もうおろして~」

「駄目」

「どこまで行くのー」

「ちゃんと話出来るとこまで」

「ここでもいいじゃん!」

「でかい声だすと目立つよ?」

うっ、と笑満ちゃんの息が詰まった。目立つもなんも、こんな歩き方してるわけだから既に目立ちまくってるけど。

「少し話したいだけだから」

「~~~」

押し黙った笑満ちゃんを強く抱えたまま、空き教室の一つに入った。

そっと笑満ちゃんを椅子に下ろして、その前に片膝をついた。

「はる――」

「朝は、ごめん。その、ちょっと詰まっちゃって」

「……ううん。あの、あたし何、したかな……?」

……笑満ちゃんの声が揺れている。