「神宮頼みがある」

朝一番に乗り込んできたのは、遙音だった。

旧館へは資料を取りに寄っただけですぐに校舎に戻るつもりだったから、謀ったようなタイミングだった。

「なんだ」

「女の扱い方教えてくれ」

「………は?」

なんて?

「お前慣れてんだろ」

ギッと睨まれた。……なんでそんな鬼気迫っている。

「んなわけあるか。咲桜の扱い方しか知らん」

「……お前そういうこと言って恥ずかしくねえの?」

「全く」

「厚顔無恥め」

ちっと吐き捨てる遙音。それから、脱線した、と頭を一つ振って話を戻す。

「そういうわけだ。教えろ」

「どういうわけだ。説明しろ」

何がそういうわけなんだか。