「で――え?」
「あと――二年半もあれば出来ないか? 心の準備」
「………」
「そうしたらちゃんと、嫁さんだってじいさんや村の人にも紹介出来るし」
「――――」
「間、短いか? それとも長すぎ――」
「よ、よろしく、お願いします」
角ばった返事になったけど、それを聞いた流夜くんは「じゃ、決定な」と目元を緩めた。
うわ、わーっ。また一つ、未来の約束。
嬉しさ。
「あ、ねえ流夜くん?」
「うん?」
「宮寺先生の言ってた相棒って、なに? そんな人がいるの?」
少なくともその呼び方で呼ばれる存在を、私は知らない。気になっていたことを訊くと、流夜くんは一瞬考えるような素振りを見せた。それから答えた。
「いね――じゃない。いないよ、そんなの」
「―――」
―――あ。
流夜くんの答えは否定だった。でも。
流夜くん今、嘘ついた。
根拠はなく、そう感じてしまった。
……なんとなく、食事を再開する。
からといって、私の中に生まれたのは不信感ではなかった。
ただの淋しさだった。
「今言い直したのなんで?」
「松生に言われたこと思い出した」