「……めんどくせ、こいつ」

「ああ⁉ お前じゃねえんなら誰だよ! 春芽でも雲居でもねんだろ⁉ っつーかなんで誰も教えてくんねえんだよ!」

「そもそも知ってる人間が少ないから、か?」

……宮寺の答えは真面目だった。

真剣に考えている。

頭を抱えて絶叫した。

「くっそ! こいつが神宮みてーに人間失格だったらもっとけしかけんのに!」

「少し落ち着け? 神宮そこまで落ちてないだろ」

「あいつは一度地獄まで落ちてっからいんだよ。ああー気になる!」

「神宮に教えてもらえるように頑張ればいいんじゃないか?」

「………そうやってもう何年だろうな……」

何年か前に、その存在を知った。犯罪学者・神宮の相棒と言われる奴。

その正体を俺は知らない。雲居や春芽を訊ねても、二宮さんに訊いても、「自分で探せ」と言われて終わりだった。

『相棒』、が雲居や春芽ではないとこまでは突き止めた。けど、その先は全然だった。神宮にいたっては「そんなものいるのか?」と、自分のことなのに疑問符で返して来た。

「ま、反応からして、あいつまだ華取さんのこと話してないみたいだな」

「相棒にか?」

顔をあげた。

「たぶんな。俺、心理学とかは専門じゃないから断言は出来ないけど」

じゃー戻るわ。宮寺は言って、そのまま階段を降りて行った。俺はその背を睨む。

犯罪学者・神宮流夜の相棒――俺も正体を知らない存在が、神宮のごく近くに、いる。

二人が組めばお宮入りなしと評されたというモノたち。

咲桜は? あいつが初めて堂々と恋人と呼ぶ『彼女』は、それを知っているのだろうか―――。

「……その前に俺に知らせろ」

密かに神宮に毒づいてみる。

うしなった日から追い続けている背中。まだ指先が触れもしない彼方。