「咲桜を男扱いしないでくれるか」
「男扱いなんてしてません。こんな綺麗可愛い子を」
睨みあう彼氏と親友に挟まれて、どんどん困ってきた。ええと……これってどういう状態なんだろう……。それに気づいてか知らずか、宮寺先生が声を挟んで来た。
「神宮、お前の相棒は華取さんとのこと、勿論知ってるのか?」
「―――」
「あいぼう?」
黙る流夜くんに首を傾げる笑満。途端、それまで動かなかった先輩の手が宮寺先生の後ろ襟を摑んだ。
「――宮寺、ちょっと来い」
「は?」
なんだよ、と言いながら宮寺先生は先輩に引きずられていく。廊下に出てドアが閉められた。
「……なんだあれ」
「気にするな」
流夜くんの返事聞きながら頼がドアに向けて一度シャッターを切った。
「流夜くんの相棒って誰ですか?」
「あいつのいつもの戯言じゃないか?」
「琉奏先生のいつもなんて知りませんが。ふーん? へえー?」
「……。松生、本当にさっきの言い方はやめてほしい」
にやにやする頼を横目に、流夜くんは再度念を押す。
「なんでですか。当たり前のことなのに」
「……自分の女、男扱いされて喜ぶ奴があるか」
「―――」
「……先生、さらっと言わないでください」
「当り前のことだ」
流夜くんには照れた様子が全くない。いつも思うけど、流夜くんはメンタルが強いのか鈍いだけなのか……。