ドアを開けると予想済みの反応。

イラッとしたように眉を寄せて、窓辺に腰かけて本を読んでいた神宮が睨んで来た。

足元に積みあがった本の量。……臆するな、俺。

「頼みがあるんだ。神宮の研究がしたい。髪と血をくれ」

手を差し出した俺は即・雲居に回収された。

廊下の隅に放られて、声をひそめるように怒られた。

「バカッ! ストレートすぎだけど言いかたがどこかおかしい! どこが間違ってるって言えないけど絶対間違ってる!」

「え、だって二人が余計なこと言わずに要件だけ言えって……」

「言ったけど! 見てみろ、普段カオ筋一つ変えないりゅうが顔引きつらせてるし、総てを冷笑に伏して終わりにするふゆまでドン引きしたカオじゃねえか! むしろお前天才レベルだわ!」

「あ、ありがとう」

「褒めてねえよ! このままじゃ俺らと違ってりゅうの検体もらえずに帰ることになんぞ?」

黙った。俺が頼んだのは、遺伝子学実験の一環で、この傑出した三人のDNAを調べてみたいから検体を提供してくれないか、というものだ。

ノリのよい春芽と雲居は簡単に肯いてくれたが、普段仲があまりよろしくない神宮は、二人の説得は不可欠だろうと頼みに来た。

そしたら俺は爆弾爆発させてしまったらしい。

雲居がブツブツ言っている。あまりにもその言い方はない。うわー、りゅうがあんな怯えたカオしてるの初めて見たし。……こいつ、大物になるな。

「吹雪、何あいつ。気持ち悪い」

「うーん……今のはさすがに僕もいやだなあ……」

春芽までも顔を歪めている。仕切り直し。

「神宮、遺伝子研究に使いたいから手ぇ切ってくれ」

「自殺強要じゃねえか」

手を切れってどんな要求だよ……と、雲居が今度は額を押さえた。