「高潔かどうかはわかんないけど、単にあいつらの育ての親の一人が二宮さんだからだよ。あの二宮龍生だよ? もし学生の身分で女の子妊娠なんてさせたら三秒後には六文握って三途の川の入り口だよ」
「……イメージわきます」
「だろ? そんな人の育て方に、俺も少しながら影響ありだからさ――、今だけの付き合いじゃ、嫌なんだ。笑満ちゃんのこと、大事にさせて。ずっと」
笑満ちゃんが膝の上で握っていた手を、包み込む。ずっと? それは、あのときみたいに離れることはないって、思っていいの?
……笑満ちゃんの瞳は、揺れている。
「もう、勝手にいなくならないから」
「―――」
いなくならない。笑満ちゃんのところから、絶対。
「……はい。ずっと、傍にいたいです」
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重なった手を繋いで、二人帰り道。
「遙音くん――今がまだ無理だったら、いつかでいんだけど。……お母さんとお父さんに、逢ってほしいの」
「いいの? それって、その……付き合てるって……」
「うん。ちゃんと、知っておいてほしいし。今だけの付き合いが嫌なのは、あたしも一緒だから」
「……なんか照れる」
ふいとそっぽを向くと笑満ちゃんが慌てだした。
「あ、あたしなんて顔からマグマ出そうだよっ」
「俺だって噴火警戒レベル半端ないって。でも、別に嫌なわけじゃないよ。俺と付き合ってるって知られて、笑満ちゃんが嫌な思いをする可能性があるのが嫌なだけで」
「そうなの? そんな心配お父さんたちならいらないと思うけど……」
「うーん……たぶんそうなんだけど、……やっぱり二宮さんや華取さんとは、おじさんたちは違うわけだし――」