「話、変わっちゃうんだけど、大事なことだから言っておくね? ……もし、この先不安にさせるといけないから今のうちに言っておくけど、俺、笑満ちゃんが高校卒業するまで、キス以上はナシでいるつもりだから」

笑満は二度瞬いた。

「……それはあたしに女の人っぽい魅力がないから?」

「いや、全然そういうんじゃなくて! 笑満ちゃんは誰よりも女の子だし! ……言うのは、もしそういうことがあって、その目的が達せられてしまったとき、負担がかかるのは女の子の方だろ?」

「目的が達せられ?」

ややこしい言い回しがわからなかったようで首を傾げるから、俺は唸って頭を抱えた。

「……直球に言うと、子供が出来るってこと。その行為の本来の目的って、子孫を残す、だろ?」

「あ―――」

やっとわかった笑満ちゃんは顔を真赤にさせて、ばっと握る手を見た。そ、そうだよ、ね。と呟いている。

「そんなことになって、まさか笑満ちゃんと別れさせられるような状況なんて絶対俺、無理だから――だから、今は清い関係でいたい。……笑満ちゃんは、そういうことどう考える? ――って、答えにくいよな。女の子に何訊いてんだろな。あー、っと、俺がこういう考えなのはさ、やっぱあいつらの影響なんだわ」

「流夜くんや吹雪さんたち?」

「うん。――まだ流夜くん呼びすんの?」

「まだって言うか、咲桜の彼氏っていう立場が絡んで話すときは。万が一あたしのせいでばれたなんて嫌だから。絶対」

「……くそ」

「? 遙音くん?」

「気にしないで」

「そう? で――流夜くんたちが高校時代とか、そういう高潔な考えだったの?」