知っている。りゅうもふゆも。

どれだけ自分たち――俺が常識外れのことをしても、絆だけは俺を奇異の瞳で見たり離れたりしなかった。

だからりゅうもふゆも、絆を俺の特別な位置に見ている。

絆が向けてくれる愛情を偽りや作り物だなんて思わない。

でも、絆が好きになったのが俺じゃなかったら、彼女を安全にしていられたのに、とは、ずっと思う。

……それを見越してか悟ってか――絆はきっと、りゅうやふゆのように考えてではなく本能的に、の部類だろう――この世界にいることを辞めたら離婚、と言って来た。

……強すぎるよ、お嫁さん。わかっている。俺はもう後戻りが赦されないくらい深く世界に関わっている。りゅうも、ふゆも。

……だからりゅうは恋人に、こちら側へ関わることをよしとしていない。

自分たちに護られているだけならまだしも、闘う側になったら、絆は俺を、咲桜ちゃんはりゅうを護る側にもなってしまう。

そんなことさせたくないと思っている。

――絆は突っ込んできたけど。それも俺の力になるためにと、法律の世界に。

あー、もう愛してる。大すきだからさ。……頼むから、俺より前には出ないで。大切なんだ。危険にさらすことがわかっていてもそこにいてほしい。

俺に護らせてよ。絆を護ること、俺が生きている理由にさせて。前にいても護るし援護射撃もするけどさ。

……生きている理由や価値を探さなかった俺たち。

犯罪の世界に関わることが、生きている理由だったから。

……うん、わかった。半分は、そのままでいる。だからもう半分は、全部絆のために生きたい。……いいかな?

あー、また泣いて。うんうん。……待たせてごめん。すきになってくれて、ありがとう。これからは俺が腕広げて待ってるからさ。いくらでも泣いていいよ。もうこれからは、一緒に生きよ?

「……何浸ってんだ、こいつ」

「色ボケ中だよ。放っておくのが一番」

親代わりの二人、辛辣だった。