……なんだかんだ、絆とは高校で逢ってから腐れ縁で繋がっていて、鬼ごっこの途中とかにつらつらと色んな話をした。
それ以上に喧嘩ばっかりだったけど。最初の頃は止めるのに必死だったりゅうとふゆも、今では傍観者を決め込んでいるくらいに。
俺が父の自殺を明かした時、絆は「……それがあんたが警察に関わる理由だったの?」そんなことを訊いた。「うーん。そうでもないんだけど。なんてゆーか、父親に関しては、俺が殺すより先に自分でおっ死んじまったなー、くらいしか思わねえんだわ」。
俺は、父親を殺す予定だった。
憎しみや恨みではなく、ただそれが俺の人生に組み込まれていたように、そう考えていた。
だから、こちら側へ来た。
自制の意味も作るため。
『……それでもね、すきなのよ』
一度抜いていた刃をおさめられたくらいの、強い意志の持ち主。絆はそんな風に言ってくれたことがある。
『……強くならないと、だめね。誰かをすきになるのに力はいらない。でも、すきだと言うのには強くないと駄目。あなたを支えていくからね。あたしに寄りかかっていいのよ? だから……ずっと手を繋いで、あたしを見ていてね? ……あなたの世界の、半分だけあたしにちょうだい?』
「……いい人だね」
「このボケガキに惚れてくれる子だ。奇特だ。大事にしろよ」
「……うん」
絆が強いから、俺を受け容れてくれた。
大きく腕を広げて待っていてくれる。いつでもここで休んでいいから、と。
……泣きじゃくりながら。
本当は、知っている。俺がいる世界を怖がっていることを。
目を逸らしたくて、こんなところ離れてしまいたいと思っていることも。
もし絆が好いたのが俺でなかったら、絆はもっと平穏に、安全な場所での恋が出来ていたはずだ。
なのに、俺が――たぶん俺のが先に絆を好きになって、突進する勢いで告白しまくっていたから、それに無理矢理引かれて俺に好意を持つようになったかもしれない。
……なんて言ったら大気圏外までぶっ飛ばされるけど。
大体三人くらいに。
……最近そこに、女の子のくせに女の人大すきで、女性のことになると簡単にネジ四、五本ぶっ飛ぶ幼馴染の恋人が加わりそうで怖い。