「はっ? なんで俺まで」
「あの単細胞のこと」
「う……」
何故それで通じる。
「じゃあ、咲桜。先に送ってくから」
「え? いや大丈夫だよ」
「ダメ。ここで咲桜一人に出来るわけないだろ?」
「……ありがとうございます」
「それから――あのバカのこと、遙音には内緒な?」
……え?
「言っちゃダメなの? 遙音先輩なのに――」
あ、名前出さずにわかってしまった。流夜くんがほとんど名前で呼んでないから……。
「だからこそ、なんだよ。あいつが斎月を見つけられなかったら、それは、遙音は斎月に関わっていい奴じゃないってことだから」
「………」
「あれは世界がごちゃごちゃしてる。色んな世界が交錯した中に立ってるから、あいつに気づけても見つけられなかったら、関わるべきではない」
「……私、思いっきり関わっちゃったよ……? や、関わるほど親しくなったわけじゃないかもだけど」
そう言うと、流夜くんは驚いたように瞳を開いた。それから私の頭を撫でた。
「わっ?」
「あいつが誰かを姉だなんて言うの、初めて聞いたよ」
「え――」
「それに、咲桜は自分であいつを見つけた。だから、関わって大丈夫なんだと思う」
「………」
みつけた、の……? ………。
「咲桜⁉ なんで泣く⁉」