「妙案。頼と笑満ちゃんがOKしてくれれば俺はいいよ。絆にも言っておくし」
「ぜひお願いします! 夜々さんの結婚式に備えてやっぱりどんなことやるのかとか知っておきたいですし、勉強になります! あ、勿論絆さんやご家族さまがお嫌だったらはっきり言ってもらって大丈夫ですから」
「りょーかい」
「絆の親御さんはお前みたいな不審者で承諾したのか?」
「評し方ひどすぎるんだけど。八つ当たりやめろよ。ちゃーんとご挨拶行ったよ。一応高校の頃から面識あるからね。ご両親とも、「やっとか」みたいな顔されたよ」
「………」
二人の仲は、絆さんが肯くだけが総てだったんだな。二人の関係をそこはかとなく知る。
「……あれ? 夜々さん? 結婚? 夜々子さんってお隣さんだよね?」
「はい。父さんとくっついてほしいなあって」
「……それって娘のすることなの? 咲桜ちゃんは楽しそうだけど」
一本指を頬に当てて笑顔な私に、降渡さんは首を傾げた。
「そりゃあ娘だからですもん」
あ、そうですか。と、降渡さんはそこで引いた。
「ご結婚のこと、吹雪さんにはお知らせしたんですか?」
「これからね。今日もここにいれば来るだろうから」
「どんだけ暇だよ」
悪態をつく流夜くんだけど、降渡さんが暇ではないことくらい知っているだろうに。
なんでか降渡さんに対しては態度悪くするんだよなあ、流夜くんて。頭の中でうーんとうなった。
「そう言えば――吹雪さんはご結婚考えるような方いないんですか?」
「ん? あー、吹雪はなー」
「んー、ねー」
二人は曖昧に目線を合わせた。……どういう意味だろ?
「ふゆは兄貴が二人もいるから、ド田舎の天龍出身でも跡取りとかそういうこと気にしてないからさ。気が向いたら結婚すんじゃない?」
「え、お兄さんいるんですか? でも――流夜くんと降渡さんて……」
どちらも警察が関わることを経て天龍で育ったと聞いている。
幼馴染というから、てっきり吹雪さんも同じような出身かと思っていた。
「吹雪の家族は健在だ。俺らとは少し境遇が違う」