「まさか咲桜ちゃんが斎月姫とご対面するまでになるとはねー。もう少し後かと思ってたよ」
「……こいつが日本出たら言うつもりだったんだよ」
「あ。やっぱ斎月姫、外国(そと)出んの?」
「その呼び方やめてください。中学は義務教育ですからね。一応卒業はしてからかと」
中学って一応で出るもんなのか。進学校に在籍しながらも勉強は「………」な私、目が点になった。
「ふーん。こっちも淋しくなるねー」
「大丈夫です。三人は残していきますから」
「……わー、賑やかー」
降渡さんが平坦な声で、ぱちぱち手を叩いた。
「斎月姫、主咲は相変わらず?」
「じゃないですかね」
「俺あいつ苦手なんだよねー。無表情で怖いし」
「主咲くんが得意な人なんて、ユキたちだけで十分じゃないですか?」
「そーだねー。咲桜ちゃん、今度主咲にも逢ってみたら?」
「つかさくんて……斎月の彼氏、ですか?」
「そうです」
「あっ、そう言えばさっき『つかさくんのとこに行く途中』って――」
「はい。さっきここで流夜兄さんと今持ってるヤマの話し合わせてまして、その帰りに呼び出されました。ふざけないでくださいお兄様」
流夜くんが斎月に平坦な瞳で睨まれた。流夜くんは片手で頭を抱える。
「……悪かったよ。主咲には謝罪入れとく」