「勿論だ」
「そう――じゃあ流夜兄さん、私のことは別に隠すことはないよ。咲桜さんに心配はかけたくないけど、私のことも言っていいのかわからなかったってとこ?」
「……ああ」
斎月さんは流夜くんから私に視線を変えた。じゃあ簡単に自己紹介。と。
「言えなかったのはあれですかね。同業者ってのは、同じく犯罪学者です、ていう意味です」
「………」
繰り返された説明。私の頭は遅れて理解を始める。
中学生なんだよね? まず驚くべきところだ。さすがに年下とは思っていなかった。そしてあめりかじだいのだいがくのどうきせい? え、もう大学出てんの? それで、え? 学者さん?
頭の中に言葉が乱立して困っていると、流夜くんは眉間に皺寄せて斎月さんを見返した。
「そこまで話していいのか?」
「うん? うん。もしかしたらだけど、この先流夜兄さんと現場で鉢合わせる可能性はあるわけだし。その度に咲桜さん不安にさせたり悲しませるのは私もやだし」
「……成長したなあ。ネコガキのくせに」
「なんでいつも猫扱いされんの」
「主人にしか懐かないから」
「それ一般的には犬じゃない?」
斎月さんが不服そうに言い返してから、こちらに向き直った。
「咲桜さん、何かご質問ありますか?」
「………断片的に理解してきました………」
答えてから、取りあえず頭を抱えた。
そういうことをやってのける人間がそうゴロゴロいるとは思っていなかった……。
私が頭を抱える一方、隣では兄弟会議が開催された。