「いいの、見つけた」


だからこそ、“彼女” が目の前に現れるまで、気づくことができなかったのだろうか。厘の残像に、心を奪われていたから。


「っ、岬!……岬———!!」


少女を救いに行ったはずの厘の声が、濃く脳裏に刻まれる。表情は見えずとも、彼が必死な様子は手に取るようにわかった。いつも、厘はそうだった。


「最高ね、あなたの身体」


虚ろな瞳が光を宿す。正面で微笑を浮かべた彼女(・・)は、岬の手を取った。


瞬間、プツリと途絶える意識。テレビの電源を切られたように、視界は暗闇に包まれる。


『……っ、何もできなくてごめん、岬』


最後に刻まれたのは汐織の、柔く弱々しい声だった。