しかし、仕方がないと擁護もできる。だからこそ、愛情表現というものは易くないのだろう。


「ご、ごめん……っ、すぐに退くから、」


あわてふためく岬。厘は退こうとする彼女の腕を引き寄せ、あえて妖艶に見上げた。打算を含んだ身のこなしであったことは否めない。


「お前の温度は心地いい。回復するまで、もう少し此処に居ろ」

「は……はい」


乱れた髪を素早く梳かしながら、彼女は再び横たわる。先刻より、纏う体温は上がっているようだ。


「岬」


愛おしい。愛している。……籠に入れてしまいたいほど、愛している。
体温に触れるほど、芽生えては消え、また芽生える儚い言葉。出来ることなら、朽ち果てる前に伝えたい。


「桜が咲いたら、花見に行こうか」


厘は微笑み、余寒の空へ思いを馳せた。願わくば、桜が舞う木の下で〝この想い〟を伝えさせてほしい、と。