沈みゆく西日に、微かに照らされたオーナメント。ベルが背後で奏でる旋律に、その煌めきは良く映える。隣に大切な人が居れば、不思議とより特別な景色に見える。
岬は横目で、厘の横顔を垣間見た。次に流れる『We Wish You a Merry Christmas』が視えない雪を編んでいるようだった。
「言われてみれば、妙に浮足立っているな。周りの人間は」
「うん……そうだね」
私もそうだよ———とは、素直に言い出せない。あの告白に意味を持たせてしまう前に、呑み込んだ。
「それに、なぜか男女が多い」
『当たり前だろ、クリスマスっつーのはそういうもんだ。プレゼント交換とかいう風潮にもうんざりするが、直前にこぞって付き合いだす奴らなんて、考えるだけで吐き気がする』
吐き捨てるように言う中の声に、岬は苦笑する。かなり捻くれた偏見と感情が彼の中にはあるようだった。
「プレゼント?」
「うん、贈り合うんだよ。自分の大切な人に。えっと、25日のクリスマスにね」
あと一週間後かぁ。岬が付け加えると、厘はおもむろに顔を覗き込む。
「それならば、俺にも贈る必要があるな」
「……え?」
「お前に。プレゼントを」