手首、足首に残った軽い痣。憑依のあと、苦しい位に締め付けられた身体。自分の身が危うかったことを、自分の身が語っている。それを蒸し返すほど、詮索するほど野暮じゃない。


そして、微かに残っている深いキスの感触。───あの(・・)意味を知れば、伴う刺激は並大抵では済まないような気がした。すべてを知らずとも、厘が変わらず傍にいるだけで、岬には十分だった。


「平気か」

「……え?」

「自分の知らない間に操られているなど、俺には耐えられんからな」


ぶっきら棒に移されているはずの視線が、どうしてか熱い。もうすでに、並大抵では済まないのかもしれない。


「うん、大丈夫。きっと今までも、お母さんも知っていてくれたんだよね」

「……そうだな」


厘はそっと、岬の頭に手を滑らせる。こんなにも優しくて、温かい。


全てを知った夜、岬は微睡(まどろ)みながら、彼の肩に身を委ねる。そしてそのまま、夢を見た。