韓媛達が離宮に戻ってくると、何故だか宮が少し騒がしくなっていた。
(あら、人が増えてる。誰かが来られたのかしら?)
「うん、一体何事だ」
大泊瀬皇子も宮内から人の声が聞こえて来るので、少し不思議に思った。
どうやら誰かが、この離宮にやって来ているようだ。
大泊瀬皇子は、離宮につくなり馬から降りて、誰がここにやってきたのか確認する事にした。韓媛や葛城円も馬を降りて、そんな大泊瀬皇子の後に続いた。
すると大泊瀬皇子は、1人とても見覚えのある青年がいる事に気が付いた。
「い、市辺皇子。何でお前がここにいるんだ!」
何と彼の前にいたのは、大泊瀬皇子の従兄弟である市辺皇子だった。
急な市辺皇子の登場に、韓媛と葛城円も流石に驚く。彼は葛城の姫を妃にしているため、葛城とも縁がとても深い。
市辺皇子は、大泊瀬皇子達がやって来た事を確認すると、ひとまず大泊瀬皇子に声をかけてみる。
「あぁ、大泊瀬、無事に戻ってこれたのか。先程この宮の人達から、お前と韓媛の姿が消えてしまったと聞いて、とても驚いていた所だ」
だが市辺皇子は、驚いたと言っている割には平然としている。そして何となくだが、少し愉快そうにしているふうにも見えた。
大泊瀬皇子は、そんな市辺皇子の態度を目にし、少し苛立った。
「あぁ、お陰さまでな。あいにく俺は悪運には恵まれてるようだ」
彼は嫌みたらしくそういって、市辺皇子を少し睨み付けた。
元々この2人は仲が余り良くない。なので周りの者達は、このままだと一発触発してしまうのではないかと、一瞬不安がよぎった。
「これは、市辺皇子。お久しぶりです」
この状況を見かねた葛城円が、大泊瀬皇子の後ろから出てきて、市辺皇子に声をかけた。
すると市辺皇子は葛城円に対して答える。
「円久しぶりだね。何でもあなたの娘が川に入ってしまい、その後行方が分からなくなったと聞いていた。でもどうやら無事だったようで、安心したよ」
市辺皇子はそういって、円の横にいる韓媛を見て、にっこり笑った。大泊瀬皇子の方は分からないが、彼は少なくとも韓媛の事は気にしていたようだ。
「はい、最初はもう駄目かと思いましたが、大泊瀬皇子が助けてくれました。市辺皇子もお元気そうで何よりです」
韓媛は、市辺皇子にそう答えた。
大泊瀬皇子と市辺皇子は余り仲が良くないが、韓媛自身は市辺皇子とは普通に接している。それに彼の妃である荑媛と韓媛は親戚同士で、彼女達は元々仲が良かった。
「それで市辺皇子、今日は何故この宮に来ている」
大泊瀬皇子は、そんな市辺皇子と韓媛が話しをしている事など、特に気にするふうでもなくしていった。
(あら、人が増えてる。誰かが来られたのかしら?)
「うん、一体何事だ」
大泊瀬皇子も宮内から人の声が聞こえて来るので、少し不思議に思った。
どうやら誰かが、この離宮にやって来ているようだ。
大泊瀬皇子は、離宮につくなり馬から降りて、誰がここにやってきたのか確認する事にした。韓媛や葛城円も馬を降りて、そんな大泊瀬皇子の後に続いた。
すると大泊瀬皇子は、1人とても見覚えのある青年がいる事に気が付いた。
「い、市辺皇子。何でお前がここにいるんだ!」
何と彼の前にいたのは、大泊瀬皇子の従兄弟である市辺皇子だった。
急な市辺皇子の登場に、韓媛と葛城円も流石に驚く。彼は葛城の姫を妃にしているため、葛城とも縁がとても深い。
市辺皇子は、大泊瀬皇子達がやって来た事を確認すると、ひとまず大泊瀬皇子に声をかけてみる。
「あぁ、大泊瀬、無事に戻ってこれたのか。先程この宮の人達から、お前と韓媛の姿が消えてしまったと聞いて、とても驚いていた所だ」
だが市辺皇子は、驚いたと言っている割には平然としている。そして何となくだが、少し愉快そうにしているふうにも見えた。
大泊瀬皇子は、そんな市辺皇子の態度を目にし、少し苛立った。
「あぁ、お陰さまでな。あいにく俺は悪運には恵まれてるようだ」
彼は嫌みたらしくそういって、市辺皇子を少し睨み付けた。
元々この2人は仲が余り良くない。なので周りの者達は、このままだと一発触発してしまうのではないかと、一瞬不安がよぎった。
「これは、市辺皇子。お久しぶりです」
この状況を見かねた葛城円が、大泊瀬皇子の後ろから出てきて、市辺皇子に声をかけた。
すると市辺皇子は葛城円に対して答える。
「円久しぶりだね。何でもあなたの娘が川に入ってしまい、その後行方が分からなくなったと聞いていた。でもどうやら無事だったようで、安心したよ」
市辺皇子はそういって、円の横にいる韓媛を見て、にっこり笑った。大泊瀬皇子の方は分からないが、彼は少なくとも韓媛の事は気にしていたようだ。
「はい、最初はもう駄目かと思いましたが、大泊瀬皇子が助けてくれました。市辺皇子もお元気そうで何よりです」
韓媛は、市辺皇子にそう答えた。
大泊瀬皇子と市辺皇子は余り仲が良くないが、韓媛自身は市辺皇子とは普通に接している。それに彼の妃である荑媛と韓媛は親戚同士で、彼女達は元々仲が良かった。
「それで市辺皇子、今日は何故この宮に来ている」
大泊瀬皇子は、そんな市辺皇子と韓媛が話しをしている事など、特に気にするふうでもなくしていった。