陸上部は、一年生の入部は、俺達だけだった。二年生に三人、三年生は一人というクラブの人数としては寂しいものだった。

そもそも、うちの学校はクラブの数が多いのだ。仕方ないのかもしれない。

「彰、体調はもういいのか?」

谷口先輩は、話す距離が物凄く近い。顔にかかるツバを真摯に受け止めながら、俺は、はい、とだけ、小さく返事した。

「よし!ようやく全員集合だ。今年は豊作だな、なんせ俊足の一年、二人と念願のマネージャーまでら二人も入ってくれたんだからな」

一列に並んで準備体操をしながら、ご満悦に谷口先輩が笑った。二年生と三年生はすでにアップをおえて、各々トレーニングを始めている。

「……それにしても、お前らの頭は、どうにかならないのか?茶色に金色に。カラス避けでもあるまいし。日本男子は黒髪だろう!」

アキレス腱を伸ばしながら、太陽に光る俺たちの頭髪を交互に見ながら、ギョロ目を見開いている。

「俺、地毛です」 

間髪いれずに駿介が、真顔で返事する。

「なわけないだろっ、駿介!」 

「ふん、まあいい、今日は五十メートルのタイムを測るからな」

 駿介が、ニヤリと笑うのがわかった。

「勝ったら俺、砂月と口説く権利もらおーっと」 

「は?勝手に決めんな!」

「いいじゃん、そもそもお前の許可なんてあってもなくてもいいんだけど」

小さい頃から俺は、走るのだけは速かった。山育ちなめんなよ。砂月は、愛子とスコアボードを片手にゴールに向かって歩いていく。

砂月の見てる前で、負けられない。