「砂月……ありがとう」

ちゃんと、砂月にありがとうって言ったのはいつぶりだろうか。砂月は何も言わない。ただ背中に回された小さな両手が、ぎゅっと強く俺を締め付けた。

「なぁ、腹減ったよな?」 

「え?」

「学校には、俺ら体調不良で連絡しといたから。何か食べに行こうぜ」

いつもの口調で、そう言って俺は、砂月から離れた。

今離れないと、ずっと離れたくなくなりそうだったから。砂月を困らせたくなかった。

「……彰、ありがとう」

ビー玉みたいな綺麗な瞳が、俺に満面の笑みでお礼を言った。

ーーーー別に砂月の為なら、何回だって何万回だって祓ってやる。一生だって。

「ばぁか、余裕だし」

顔が、赤くなるのが分かった俺はそっぽを向いた。砂月が、俺の顔を見上げながらクスクスと笑った。

俺は、やっぱり、砂月の笑ってる顔が一番好きだ。