砂月は、前よりも自分の意見をちゃんと伝えようとする姿勢が見られるし、何より前向きになった。学校で、いつも一緒に居る、愛子のおかげなのかも知れない。

近頃の砂月は、憑かれるかも知れないと、怯えることより、憑かれないようにと、自身をコントロールしようと努力している。

(もしも砂月が、憑かれることがなくなったら、俺は、砂月の隣に居られなくなるんだろうか……)

秋の訪れを告げるように風が、ガードレールをすり抜けて、砂月の髪をふわりと揺らした。

こうやって、いつまでも砂月と並んで、ただ歩けたら、どんなにいいだろう。

「……ところでさ……砂月、いつカヨさんに憑いてもらうんだ?そもそも、意図的に《《干渉》》するのって、難しくないのか?」

砂月の顔が、少し強張った。