お節介だと言われようが、少しでも役に立てるのであれば本望だ。すると、男の方が何かを察したかのように苦笑した。

「あんた、随分お人好しみたいだな」
「うっ、すみません……」
「んで、全部顔に出るところを見るとまだまだ若いな」
「僕は二十八歳ですよ」

 つまりあなたとは同級生になります、と思わず言い返すと、今度は男の方が目を丸くした。

「……………………マジか」
「ちょっと間を溜めすぎじゃないですか?」
「いや、本気でビックリしたわ」

 そうかタメか、と男が呟いたかと思うと、おもむろにスーツの内側のポケットから一枚の名刺を取り出して、こちらに差し出してきた。

「俺はイツキ。何かあれば、いつでも連絡くれ。あんたの力になるよ」

 僕が続いて名前を名乗ると、彼は「そうか」とニッと笑って立ち上がり、省吾さんに礼を言って料金を払った。

 近くなら同じタクシーに乗るか、と彼が尋ねてきたので、僕は有り難い提案だと思いながら席を立った。



                      了